聖夜の政変

2011.12.31

システム部門で専横を極める取締役を押さえ込むために、新たに採用されたエンジニアのEさん。彼は他の社員に疎まれながら、虎視沈々と逆転の機会を狙っていた。大手流通メーカーのA社から、我々のもとに求人依頼が入った。情報システム部門のトップを外部から迎えたいという。トップクラスの採用を請け負うのは、我々の間では珍しい話ではない。だが、A社の場合、ちょっといわくつきのようだった。社長自ら採用活動するというのである。

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今回の採用は、A社の中でもトップシークレットで、当の情報システム部門のメンバーは、上から下まで誰も知らない話として扱われた。A社の事情はこうである。創業以来の古株の社員X氏が、担当取締役として情報システム部門のトップに立つだのが五年前。もともとシステム畑の長かった入らしく、A社のシステムを次々に刷新し、拡充していった。もちろん、社内システムが発達することで、A社の業績が仲びていったという事実もあり、X氏の社内での評価は高まる一方だった。ところが、長年同じ人物が権限を握ると、ろくなことにならない。いつしかシステム部門はX氏の聖域となり、人員はすべてX氏の息のかかった派閥と化し、予算もX氏の思うがままとなっていた。日増しにX氏の専横が激しくなり、不必要な機材やマシンを次々に購入しては、無意味にシステムを増殖させていく。どうやら、業者から相当額のリベートを受取り、懐に入れているらしいという噂まで聞こえてくる始末である。憂慮した社長が外部から優秀な人材を招き入れ、X氏の専横を押さえ込もうとした背景には、こんな事情があったのである。





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